#17.ホールのピアノ調律回数

 以前から疑問に思っていること。
 専門家に聞けばすむことなのだろうが、なぜかまだ聞けていないのでとりあえず書いてみる。

 中古ピアノの良否の判断のひとつにピンブロックの状態というのがある。チューニングピンを差し込んだ板で、何枚もの板を張り合わせてできているものだ。これは一部のピアノを除いて、大半のピアノではフレームの下に隠れているので通常は目にすることはない。
 この板に差し込まれたチューニングピンをわずかに回すことで調律師は調律作業をする。それが古くなったり、あるいは何らかの理由でピンがゆるくなると調律してもピン位置が保持しづらくなる。すなわち調律した状態維持が困難になる。これを通称「ピンズル」というそうだ。
 このピンズルになると、一般的な対策としてはチューニングピンのサイズを変えることで解決をはかる。要するに、より太いピンに交換してピン回りの間隙をきつくすることで緩まないようにするというわけ。でも酷いときには最終的にこのピンブロックを交換することになるようだが、それには全ての弦とフレームを外さなくてはならないし、とにかく手間もコストもかかる大修理となる。

 さてここでマロニエ君の以前からの疑問なのだが、ホールのピアノはコンサートのたびに調律をするのは周知のことだけど、そんなにいつもいつも調律していてピン板は大丈夫なのかということ。
 とくに人気のある稼働率の高いホール/ピアノの場合、ほとんど連日に近いようなペースでピアノが使われることになるが、来る日も来る日も調律なんかしていたら、ピアノのために良くないのではないかと思うが、どうなんだろうか?
 三日に一度としても、年間100回を超すペースになる。
 毎週一回としても、年間50回。いずれにしても普通のピアノに比べてすさまじい回数だ!
 それだけ使われたらピアノも幸せと見る向きもあるだろうが、マロニエ君としてはそんなペースで調律されたのではピアノもきついんじゃないかと思う。

 ちなみに、日本には今やところ構わずあてもないまま、膨大な数の豪華なホールが建てられ、大抵2~3台のコンサートグランドが納入されている。だが実際にはほとんど使われることもないまま楽器庫で惰眠を貪るピアノも相当数あり、年間たったの1~2回という使われ方のピアノも珍しくはないらしい。それを裏付けるように、現在マロニエ君のもとにはいくつかのホールから毎月イベント予定表のようなもの送られてくるが、少しでも中心を外れた場所にあるホールになると、およそピアノの出番のありそうな催しは皆無に近い。せいぜい合唱の伴奏とか、ピアノ教室の発表会がいいところだ。
 同じメーカーで同じように製造されたピアノでも、その行き先次第で、上記のような酷使をされるかと思えば、こんな境遇に置かれることにもなり、まさにこれも紙一重の運命と言うべきか。

 頻繁な調律の与える影響については、答えを得られたときにはご紹介します。