#94.調整と管理

 昨年のことですが、見知らぬ方からメールをいただきました。
 半年ほど前に購入されたピアノの調子が思わしくなく、何度お店に訴えても解決してもらえないので、とうとう購入店のフォローに見切りをつけ、ネットで解決のための調査を開始されたとのこと。その過程でこのホームページにも行き当たられたということでご連絡をいただき、意見を聞きたいというものでした。
 
 大変光栄なことですが、いうまでもなくマロニエ君は専門家でも技術者でもない一介の素人です。単なるアマチュアのピアノ好きですから、これという適切かつ責任のもてるアドバイスは出来ないし、その資格もないことをお伝えした上での、あくまで一般ピアノユーザー間の雑談としてのやりとりとなりました。

 メールのやりとりから始まり電話でも話をしましたが、それによれば半年ほど前に、ある名器と呼ばれる素晴らしい某アップライトピアノを購入されたものの、期待に反して部分的に抜けの悪いこもったような音および音域があり、何度か購入店にそのことを言われたそうです。その結果なにかしらの作業はやってくれたらしいのですが、とうてい納得できるような結果には至らず「これ以上は無理です」という最後通告を告げられるに及んで、ピアノとはそういうものだろうか?というのがお尋ねの主旨でした。

 繰り返しますが、マロニエ君は専門家ではありませんし、ましてやそのピアノを見たことも触ったこともないのでなんとも言いようがありませんでしたが、それでもあれこれと伺った話を総合すると二つの問題に行き当たるように思いました。
 至極当たり前の話で恐縮ですが「調整」と「管理」の問題です。

 とくに調整は技術的な問題もさることながら、多くの場合、お店および技術者の良心の問題が絡むことで、一部の不誠実な販売店の中には面倒臭い調整などやりたがらず、だから当たり前のように状態のすぐれないピアノがそのまま購入者の手許に届けられるという悪しき慣例があようです。もちろんそうではないところもありますし、お店もあまりナメたことをしていたら信用にもかかわるので、きちんとした販売姿勢を貫くお店があるいっぽう、中には残念ながら感心できない店および技術者が一部には確実に存在しているようです。シロウトはピアノの音やタッチなどわからないと高をくくっているのか、できるだけ手間暇をかけずに利益だけを追求するお店があるのは事実です。

 かたやピアノの管理というのは、主には温湿度の管理ですが、こちらはいうまでもなくピアノの所有者側の責任です。この方はこの点ではあまり熱心ではなかったようで、なんと音によってはハンマーが戻ってこないものがあるらしく、もともとの調整も良くなかったのでしょうが、それに加えて管理の問題が追い打ちをかけたようにも感じました。あまりにも当然すぎる結論ですが、でもやはりそうだろうと今でも思います。

 どうやら購入されたお店というのがいろいろな楽器を取り扱う総合楽器店で、ピアノの専門店ではないようでしたし、聞いてる限り優秀なピアノ技術者がいるような感じではなさそうで、この種の店では込み入った整調や整音はほとんどしない(できない)場合が少なくないので、大いにその可能性はあるだろうと思いました。
 邪推すれば、通り一遍の調律だけをする調律師がいるか、あるいはメンテ関係は、お店のいいなりになる外部の技術者に委託していて、一定以上の料金の発生する正しい修理・調整はせず、なんとか対症療法で凌いで、そのうちにお客さんが諦めるのを待つという思惑があるのかもしれません。

 しかし、その方にしてみれば、買ったお店からやってくる技術者からそこまで言われることは甚だ無念だったことでしょうし、長い時間苦しまれたようでした。追いつめられてか、状態の良いとされる名器とはいっても、しょせんは中古なので解決のためにはオーバーホールをしなくてはいけないのだろうかとまで真剣に考えられたそうです。しかし、聞けばもともとあまり弾かれていないピアノで、内部はとてもきれいなのだそうで、ハンマーなどは真っ白とのことですから、マロニエ君としても話の感じからして、いきなりオーバーホールが必要とは思えませんでした。そもそもピアノを売ってわずか半年で、お客さんにそこまで拭えぬ不満を感じさせるお店というのも、正直いかがなものかと思いました。
 ちなみに別の店で試弾された同メーカーのピアノではまったくそのようなことはなかったらしく、ではなぜそちらを買われなかったかというと、現在のものよりもグレードが低いモデルだったので、どうせ買うなら良いほうをというお気持ちだったそうです。

 大きな買い物をするときは、単純にこういう心理が働くのはわかりますし、グレードの上下に影響されて決断してしまうということも通常ありがちなことだと思われます。
 お店側もこういう部分につけこんで、視覚的にきれいで立派な商品に見えるよう、見た目ばかり磨き上げて商談をまとめ、売れればただちに運び出し、あとはササッと調律をするだけという、よくあるパターンだろうと思われます。これにあまり好ましくない管理環境が追い打ちをかけることで、ピアノは本来の実力とはかけ離れたコンディションに沈んでしまうことも大いにあると思われます。
 目先の利益だけを追い求めがちなお店にしてみれば、おそらくピアノの調整ほど手がかかって儲けにならないものはないわけで、そもそもピアノの音や調整結果には絶対の基準もないため、これはほとんどお店のプライドと良心の問題につきると思います。これと逆なのが見栄えの良さで、誰の目にもわかりやすく見える部分をピカピカに仕上げることは、お客さんの購買意欲に直結することなので、この点だけは突出して力を入れるのだろうと思います。

 あとは音が出ない、キーが戻らないなど、誰にもわかる故障だけはないようにしておいて、それ以外は現状で押し通してしまうというもの。とくにピアノを初めて購入するお客さんだったりすると、判断力は無いに等しく、ほとんどがお店の言いなりになってしまうことも、こういう不誠実な状況を作り出しやすい一因だと思われます。


 そもそもピアノの内部の、楽器としての領域の精魂込めた調整というものは、大変なわりにやってもなかなか理解されない部分でもあり、販売者/技術者としての道義を別にす、しないならしないでも済んでいく類と割り切ってしまえば、それで済んでしまう場合も多いのかもしれません。
 いくら誠実な仕事をしてもそれが相手に評価され理解されなければ、ビジネスとして成り立ちにくいということも裏事情としてはあるでしょう。

 買いにくるお客さんにしても、これという明確なピアノの音色の好みや、良し悪しを聞き分けるだけの豊富な経験、もろもろの判断力を持った人のほうが圧倒的に少数派であって、大半は判断基準さえよくわからない、お店の説明や身勝手なトークを素直に信じるタイプだと思われます。中には価格ばかりにこだわって、コンディションそっちのけでちょっとでも安い方に流れてしまう相手もあるでしょうから、このあたりはなかなか難しいところではあると思います。

 いっぽう、ピアノに於ける温湿度管理の意識というのは、なかなか理解・実行されることが難しく、温湿度計を買い込んで、これを許容範囲の数値に保ち、さらには年間を通じて維持していくのは、よほどのピアノ好きでもない限りなかなか実行は大変です。当然ながら、エアコンや除湿器などを作動させるにはコストもかかりますが、だれしも生活はあくまで人間様が主役で、ピアノ中心ではないので、すぐにこれを実現するのは難しい面があると思います。
 ピアノ店でも、年間を通じて温湿度管理をやっている店のほうが珍しく、お客さんにはその必要を説きながら、自分の店では人間のための空調以外はなにもしないところがたくさんあります。

 まさに『言うは易く、行うは難し』でしょう。
 知り合いの技術者さんによれば、温湿度管理を「やっている」と自認するピアノを生業とする方やプライベートホールのオーナーのような本格派でさえ、どんなに口を酸っぱくして云っても普段は何もせず、ピアノを使うときだけエアコンや除湿器を入れるのだそうですが、それではやっていないのとほとんど同じです。
 日頃の自分のそんな管理は棚に上げて、あとからあれこれとクレームをつけてくるのもこの手合いのようで、ある方は曰く「魚の産地や鮮度だけはやたらとうるさいくせに、買った魚を冷蔵庫にも入れずに放っておいたら鮮度が落ちたと、それを売った魚屋のせいにするようなもの」というのは、あまりにその通りで爆笑したことがありました。

 良いピアノを手に入れると云うことは、良いピアノとして維持していく ことでもあります。購入するための資金と置く場所以外にも、そのピアノを健康な状態に維持できるだけの、最低限度の認識と覚悟がなくてはせっかくの良いピアノも、しだいに不健康な問題児になっていくようなものといったら言い過ぎでしょうか。
 むかし作家の曾野綾子さんが「犬を飼うなら、最低でも10年はいかなることがあっても飼い続けるだけの覚悟がなくては飼うべきではない」とおっしゃったそうですが、まさにその通りで、もちろんピアノは動物ではありませんが、すくなくとも家具や電気製品とは根本的に違うわけで、所有者の管理の仕方にもその人の文化意識や価値観が投影されるのは確かです。

 マロニエ君の知る技術者さんのひとりはひじょうにおもしろい考えの方で、調律その他の技術料は、お客さんのピアノ管理の状態によって決めるというのです。日頃から温湿度管理をきちんとやっている人のピアノの場合は安くなり、そうでない場合は高くなるというものです。これは別にピアノ管理の悪さに対する懲罰的な価格を請求するというのではなく、管理の悪いピアノほど状態も悪く、それだけ作業にも手間ひまと時間がかかり大変だからという至って合理的な理由によるもので、ある意味当然の料金設定なのです。

 しかも驚くべきは、ピアノを何らかのかたちで生業とする先生やピアニストにも、一向にこの温湿度管理を実行しない方が少なくないようで、ピアノはことほどさように楽器として慎重に管理されることが少なく、そのくせキーを押せばちゃんと満足な音が出てくるのが当たり前、そうするのは調律師の責任というふうに捉えられていることが多いのは呆れるばかりです。ガソリンさえ入れれば故障知らずで走ってくれる日本車のように、年に一回調律さえすればあとは問題なく使える道具と信じて疑わない認識なのかもしれません。

 こういう人は長年ピアノとそういう付き合い方をしてきているので、いまさら温湿度管理といわれても、果たしてコストをかけてまでそれを実行するのかとなると、体質的感覚的習慣的経済的なものが邪魔をして結局はできないと思います。しかも温湿度管理には終わりがありません。極論すれば1年365日なのですから、「たかがピアノ」のためにそんなことやってられるか!という気持になるのもわからなくはありませんが。
 でも、不思議なのは、それをやったとしてもべらぼうなコストがかかるわけでもないのに、それはあくまで不実行。そうかと思うと、中古でさえ何百万もする高級ピアノは買いたがったりするのですから、まったく理解に苦しみます。モノとしてのピアノは大枚はたいてで
も欲しいけれども、その管理には僅かでもコストをかけるのはいやだというわけです。
 関係ありませんが、自分はベンツに乗っているのに、子どもの給食費を払わない親がいるというような話をつい思い出してしまいます。

 これが車なら車両代金以外にも購入時から登録諸費用はかかるし、乗れば常に燃料を消費し、毎年の税金、保険料、さらに故障をすれば数万円単位の修理代がかかることも稀ではありません。タイヤも減ったら交換し、2年に一度は車検があり、果たしていくらになることやら。それに較べれば、ピアノの管理費なんてものの数ではないぐらい安く済むものなんですが、それでもなかなか実行されないようです。


 誤解無きように云っておきますが、冒頭に書いた方がそうだと云っているわけではありません。書いているうちにだんだんに話が一般論に逸れてきたというだけで、その方は早速にも除湿器を回されているようで、その限りではありませんので念のため。

 話を戻しますと、現実的な妥協策としては「ダンプチェイサー」というすぐれものがあり、ピアノの中に取りつける棒状の除湿装置で、料金も2万円弱、取り付けも簡単(自分でもできます)で、電気代もたしか年間数百円というものなので、まずはこれを取りつけられることをお薦めしました。とくに中がむき出しにならないアップライトでは効果が大きいようです。

 多くの技術者の方はダンプチェイサーの効果を認めておられ、ご自分のお客さんにも推奨されているようですが、中にはどういうわけかこれがめっぽう嫌いで、断固として否定される方もあるのも事実のようです。
 マロニエ君のピアノは温湿度管理もした上で、このダンプチェイサーも使っていますが、それによって調律もどうかすると2年ぐらい経っても狂いが非常に少ないというようなことがあります。

 また、調律が狂わないと云うことは、単にそれだけに留まらず、あの複雑なアクションも多湿や温度差によって受けるダメージが少なくなるということでもあり、総合的に見るとコスト面はもちろん、ピアノが健康で弾くのが楽しくなれば気分的にもその効果は決して小さなものではありません。
 というか、「いい気分」「良好な状態」というのもは、直接の数字にはあらわれませんが、大変なコストに匹敵するものだと思います。

 調律が狂う要因はいろいろあるとしても、最大のものは温湿度の変化によるもので、季節や天候、ホールなら楽器庫とステージの温湿度差、あるいは空調による変化、あるいは照明、いずれもそれによる温湿度が原因だろうと思います。これはピアノを持ち運びする巨匠クラスの専用ピアノと随行の技術者にとっても例外ではなく、朝イチにピアノを会場に運び込んでも、会場の温湿度にピアノが順応するまでは調整も出来ず、ひたすら待つしかないようです。

 これも技術者さんから聞いた話ですが、さる有名な日本人ピアニストの自宅にあるスタインウェイを備えた練習室は温湿度管理が徹底していて、24時間365日一定に維持されているので、ピアニストの猛練習にもピアノはびくともせず、よって調律もほとんど狂わないのだとか。この話の真偽のほどは確かめようもありませんし、多少の尾ひれはついているかもしれませんが、まあそれぐらい温湿度管理はピアノの健康を左右するということの証明ではあると思われます。

 いっぽう、素晴らしい調整を期待するなら、購入時の店選びを慎重にすることですが、これはなかなか業界の人が言うようにスムーズにはいきません。気に入ったピアノの在庫のタイミングもあれば、自宅との距離、判断の未熟さなど、そうそう他人が云うほど思い通りにはいかないものです。
 そして購入店の技術に不満があれば、最終的には別の技術者に頼るより他はありません。ところが、こういうことだけはいやに遠慮深くなったり気を遣ったりで、「違う人にやってもらったらお店に悪いのでは…」というようなことをひどく心配される方がいらっしゃいます。

 それもわからなくはありませんが、ピアノは適切な調整あってのものであり、その点で満足できない購入店に変な義理立てをして、いつまでも不本意な状態のピアノを弾き続けることは、これこそナンセンス以外のなにものでもありません。何度か依頼してみて、どうしても一定の結果があげられない場合は、思い切って技術者を変える以外に道はないというのがマロニエ君の持論です。
 それでも尚、その決断が下せない人もいらっしゃいますが、誠意のない(技術のない)購入店になぜそこまで気兼ねしてガマンするのかがまったくわかりませんし、忘れてはならないことは、購入したピアノはもはや自分の所有物であって、自分の楽器を誰に調整してもらうかは自分が決めることであるし、それはまさしく所有者の自由だということです。
 ピアノの販売店や技術者とはできる限り良好な関係を保ちたいという心情はわかりますが、しかしお友だちではないのですから、そこは一般的な人間関係と混同しない方が賢明だと思います。

 そうかといって、むやみやたらと技術者を変えるのもどうかとは思いますし、要は程度問題というべきでしょう。

 ただし、技術者選びは意外に難しいものです。ネットで探すのもひとつの方法ですが、本当に優秀な技術者さんはネットではヒットしないともいわれており、よさそうな店を探して出向いてみて、それとなく技術者を探している旨を聞いてみるのもいいかもしれません。いいピアノ(高級品ではなく、よく調整されたという意味)を置いている店はやっぱり良い技術者を知っているものですし、技術者自身が経営するお店も珍しくありません。
 ちなみにマロニエ君だったら、間違ってもピアノの先生などに良い技術者の紹介は頼みません。もちろん例外はいらっしゃるでしょうが、例外はあくまでも例外であって、多くの場合、ピアノの先生ほどピアノという楽器のことがわかっていない人達もいないということを経験的にもよくわかっているからです。楽器のことでピアノの先生を頼みにするのは、ピアノに対する認識の根本的な誤りのはじまりといってもよく、これだけは避けた方が賢明だとマロニエ君は強く言いたいです最近はあまり機会もありませんが、ピアノの先生のところにあるピアノの管理の悪さは驚くばかりで、はっきり言って耳を疑います。これにくらべたら素人のほうがよほど素直な耳を持っているというべきで、根気よくピアノ店をまわったりしていれば、たちまちピアノの先生以上の判断力が備わると思います。

 またピアノを持つ知り合いなどに聞いてみるのもひとつの方法ですが、その場合の信頼度は、相手がピアノのことをどれぐらいわかっている人かということに尽きます。ただなんとなく某さんに来てもらっていて、「親切で丁寧でいいみたいよ」ぐらいの情報ならあまり信じない方が賢明です。

 最終的には自分で判断するよりないことで、少し時間がかかっても探しながら何人か試してみるうちに、必ず自分に合った技術者と出会えると思います。

 いいピアノの条件としては、もちろん好ましいメーカーによって製造された優れたピアノであることは極めて重要ですが、それに肉薄するほど重要なのは良い技術者との関係で、彼らはいわばピアノの生殺与奪の権を握っているといっても過言ではありません。ピアノは良い技術者なしには良いピアノとして機能しないという絶対的な定理があってこれは肝に銘じるべきです。ところが一般的な認識では、物としてのいいピアノは欲しいけれども、技術者の重要性という点になると、これをあきらかに実質より低く見ている場合が多いようです。
 かくいうマロニエ君自身も昔を思い出せば、こういう認識をほとんど持っておらず、ただメーカーから定期的にやってくる調律と、そのついでにおこなわれるちょっとした調整で十分なのだと思っていました。そこに変化が起こったのは自分が本当に好きなピアノを買ったことで、そこからいろいろな技術者の方と出会い、さまざまな経験や認識を得ることになったに過ぎず、偉そうなことは言えないのです。

 誠実な技術者の手が入ったピアノは弾いていて豊かで幸福な気分になれるものですが、調整を受けていない、もしくは志の低い技術者によってただ調律だけされている類のピアノは、どことなく不健康で不幸な感じのピアノになっているものです。

 どんなに立派な血統書つきの高価な犬でも、きちんとした躾と健康管理をしなくては、ただのがさつで野放図な駄犬にすぎないと云われますし、雑種でもきちんと愛情をもって飼われた犬は利口で、飼い主に従順でなんともかわいいものです。

 ピアノの管理というものは、いざやってみればそれほど大変というわけでもなく、技術者も一度良い方と出会っておけば、あとは継続していくだけなので、この二つが揃ったらピアノは相当御機嫌になりますから、ぜひ実行されることをおすすめします。
 もちろんマロニエ君がやっている管理はほどほどのものでしかなく、もしこれを徹底させようとすれば際限がない筈で、とてもそんなことはできません。しかし、何もしないよりは、ほどほどでもやらないよりピアノはずっと健康になることは間違いありません。

 一般的にピアノの湿度管理では50%~70%あたりが推奨の目安となっているようですが、マロニエ君の場合はこれは経験的自己基準で40%~55%あたりとしています。年間を通じてこの数値内に収めるというのはそれなりに骨も折れますが、できないことではありません。